二度あることは三度ある
二度あることは三度ある
こんな偶然があるのかということがありました。
私のフランス車趣味の話になりますが、このところヨーロッパや日本国内のフランス車/イタリア車の専門ショップの類でも非常に評判のオイルのブランドがあります。
ちなみにオイルというのは、車用のエンジンオイルとかギアオイルなどのことで、むろん食用ではありません。
次回交換時にぜひ一度このオイルを使ってみようと思ったけれど、いくらネット検索しても通販のルートにはそれらしき商品は一切なく、やむを得ず輸入元に問い合わせをすることにしました。
そこの情報によると、このオイルを入手するには全国に散らばる「取扱店」から直接購入するということになっているらしく、価格も各店で聞いて欲しいとのことで、取扱店をいくつか教えてくれました。
いまどき通販がないとはずいぶん手間のかかることではあるけれど、それしかないなら仕方がない。
と思い、数軒の中から選んだのは、自宅から最も距離の近そうなルノーのディーラーでした。
価格も意外に常識的であったし、友人のぶんも合わせて10リッター注文することになり、数日後、入荷した旨の連絡がきました。
受け取りのため、お店に着いて車を駐車していると、すかさずショールームから若いお兄さんがすっ飛んできて、いかにもディーラーらしい対応をはじめます。こっちはただオイルを受け取りに来ただけなのに。と思いつつ、ひとまず言われるままにショールームへ入り、お願いした担当者の名前などを告げているときのこと。
さささっと人が近づいてきて、こちらの顔をまじまじと見つめながら「あのう、、、○○さんですよね?」と声をかけられました。
「えっ、だれ?」と内心思いつつ、たしかに見覚えのある顔ですが、だれだか咄嗟には思い出せず、一瞬とても焦りました。
するとすぐに自ら名乗ってくれたのでわかりましたが、かれこれ10年以上も前、私がまったく別のディーラーでルノーじゃない車を買ったときについてくれた、担当のセールスマの方だったのです。当時、ずいぶんとお世話になった人だったのに、転勤されてからはすっかり音信不通になっていました。
話を聞くと、その後、自動車業界から一時退いて、その後再び車の業界に戻り、ルノー輸入元に勤務されるようになったとのこと。
私がショールームに入ってきた時から、すぐにわかったのだそうで嬉しいことでした。
互いにこの出会いに大いに驚き、しばらく昔話に花が咲きました。
そうこうするうち、視界の中でチラチラこちらを見ていた男性が、オイルの支払い明細などを持ってこちらに近づくと、「○○さん、、、私も、、、」というので、お顔をよく見ると、さらにそれよりも前、また別のディーラーからまったく別の車を買ったときの営業の方で、1箇所でこんなことが二度も続くなんて、みんなで私を騙しているのでは?と思うほどの驚きで、あまりのことに叫びたくなるほどでした。
今とは時代も違って、人との関わりも深い時代だったこともあり、プライベートでも車好き同士としてドライブをしたりしたこともあるし、たしかに顔立ちに当時の面影がはっきりと蘇りました。
この二人、ルノーとはまったく関係のないところでそれぞれ関わっていた人たちで、それがまったく予想もしない場所で、しかもほぼ同時に再会できるなんて、大げさですがそのときはほとんど奇跡が起きたように感じました。
しかも、現在も関東を拠点に、月に1〜2度のペースでディーラーを回っているとのことで、きっと偉くなったんでしょうが、たまたまこのときだけ、このディーラーにいたということでした。
もう一人はこのディーラーにお勤めとのことでしたが、私はフランス車が好きでもルノーにはこれまでご縁がなかったために、ここに訪れるのも初めてで、長らくお会いするチャンスがなかったというわけです。
大病院の院長回診みたいに、あちこちの店舗を見まわっているというわけですね!
お互いにずいぶん年をとってしまいましたが、若かったあの時代に関わった人というのは、なんだか格別なものでしっかり繋がっているような気がしました。
今どきは、よく顔を合わせる相手でも、たいてい上辺の付き合いに終始する時代ですから、余計にそれを感じます。この先もこの二人とは頻繁には会うことはないでしょうけれど、こういう繋がりも大切にしていきたいと思いました。