家を放置する人たちっていったいどんな人?

家を放置する人たちっていったいどんな人?

家

ちっとも知らなかったのですが、いま大きな社会問題として浮上しているのが、急増する空き家の問題なのだそうで、最近テレビでそれを取り上げた番組をたまたま見て非常に驚きました。

現在日本中で「空き家」がなんと820万戸!!!に達していて、有効な手立てもないまま、今後も増え続けることは確実というのですから、これはちょっとしたショックでした。

主な理由は、人口減少に加えて生活形態の変化などが重なってこのような現象に至っているとのこと。

親の家があっても、子供が大きくなって社会人となり、結婚して家庭を持つと、利便性の良い新しい住まいを見つけるのだそうで、多くの実家は通勤に不便だったり、家としての機能が古いなど、要は次の世代からみて魅力がないのだそうです。その結果、親の代に買った(あるいは建てた)せっかくの家は、大半が親の世代のみの役割で終わってしまうというのです。

戦後、新時代/新生活の明るい希望の象徴のごとく建てられたあまたのマイホームやニュータウンの類は、現在はその隆盛も過ぎ去り、寂しい建造物の群れのようになっているのがいくつも紹介されました。

家というものにも、流行り廃りもあるし、数十年も経てば古くなり朽ちていくという現実をまざまざと思い知らされます。その点においては、いくらか寿命が長いというだけで、所詮は家電製品や車と変わらない運命にあるという厳しい現実を突きつけられるようでした。

専門家によれば、空き家というのは極めて好ましくないものだそうで、空き家が増えてくると、その周辺の環境は急激に悪化し、治安も悪くなり、当然のように地価も下がっていくとのこと。さらに住む人が少なくなれば自治体最大の収入源である税収が減ってしまうことで、既存のインフラの維持費さえままならないようになり、これが悪循環となって、最後には街そのものが破綻してしまうというのですから、これは他人事ではすまされない、かなり深刻な問題だということがよくわかりました。

これまでは「空き家」があるからといって、それで街全体が衰退するなんて思いもしませんでしたが、たしかに空き家一つが周囲に撒き散らすマイナスイメージはかなり甚大なものであるとわかってきました。
ひとつの空き家は次の空き家を作り出し、細胞分裂のように広がっていくようで、いったんこの流れができると止めようがないのですから、ある種のパンデミックのようで恐ろしいことだと思います。

そもそも、人の住まない家ほどいやなものはありません。
草木は生い茂り、窓も戸も閉まったきりの家というのは、まさに家が死んでいる状態で、要するに街のあちこちに家やマンションの死体がゴロゴロしているようなもの…といっても過言ではないでしょう。

何事もそうですが、いいイメージを積み上げていくのは大変ですが、悪い方はあっという間です。

高度成長期に建造された多くのアパートなどが、次第に廃墟のようになっていくことを当時の人達は誰も想像しなかったでしょう。スタジオのゲストの一人が言ったことは衝撃的でした。
要するに家というのは建てた人一代限りのものであって、子育てが終わったらその子どもたちはまずそこに住むことはない。…ということは、いま次々に建てられている臨海地域のタワーマンションなんかでさえ、4~50年すれば同じようなことになる!と言っていたのは、こわいような説得力がありました。

また空き家を空き家のままにしておくことは、みっともないだけでなく、犯罪者のネグラになったり、放火の危険にさらされるなど、良いことは何一つないとのことですが、それがわかっているのに所有者は解体にさえ踏み切れないのだそうです。
解体するにも費用がかかることももちろんですが、最大のネックになっているのは税制でした。
そもそも国は国民が家を建てることを推奨するための政策として、土地に上モノが乗っていれば固定資産税が安くなるという優遇措置をとったのだそうですが、解体時はこれが裏目に出て、更地にすると税金が一気に6倍!になるのだそうで、これではなにも事が進まないのは当たり前だと思いました。

さらに空き家になるようでは物件としての魅力もないわけで、借り手も買い手もなく、所有者もなすすべがないわけです。スタジオ参加者の女性のひとりは、最後の手段として市に寄付することを申し出たのだそうですが、寄付さえもあっさり断られたというのですから、唖然とするほかありません。

やはりスタジオに来ていたお役人の説明によれば、自治体がその土地を使用する目的や見通しがある場合は「いただく」こともあるが、そうでない限りは寄付であっても受け付けないというのですから、ひぇぇ、まさに泣きっ面に蜂といった話です。

驚くべきは、そんな空き家が増大するいっぽうで、新築住宅のための宅地開発は止むことなく続いているのだそうで、このような住宅政策そのものを「焼き畑農業」といっていた専門家もありましたが、将来のことも考えない無節操な住宅開発のツケがいま回ってきているということなのでしょうか。
ともかくいやな話でした。

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